第23課(その1)存在表現(位置表現)(上、下、中、前、後ろ、横、隣、近く)
空間での物の位置関係を表します。「前(まえ)」、「後(あと)」、「近(ちか)く」、「間(あいだ)」は時間の関係にも用いられます。
位置関係を日本語で表すとき、「上(うえ)/下(した)/中(なか)」など、「NOUN」の存在する場所や位置を限定する言葉は、「NOUN + の」の後ろに来るので注意しましょう。たとえば、「ぎんこう の となり」、「トイレ の そと」はそれぞれ「next door to the bank」、「outside the restroom/toilet」を意味しますが、「となり の ぎんこう」、「そと の トイレ」は「the bank next door」、「the restroom/toilet outside」で、違う意味になります。
【例1】いすの したに ねこが います。(文型1)
【例2】A: あのう、すみません。この ちかくに ゆうびんきょくが ありますか? (文型3)
B: ええ、えきの となりに ゆうびんきょくが あります。/ええ、えきの となりに あります。(文型1)
A: ありがとうございます。
【例3】A: テレビの リモコンは どこですか? (文型4)
B: テレビの リモコンは テーブルの うえに あります。/テーブルの うえに あります。/テーブルの うえです。(文型2)
【位置表現】
上(うえ)
下(した)
中(なか)
外(そと)
前(まえ)
後ろ(うしろ)
横(よこ)
隣(となり)
近く(ちかく)
右(みぎ)
左(ひだり)
向かい(むかい)
間※(あいだ)
※「間(あいだ)」は、「Xと Yの あいだ」の形にして使います。
【例4】 ゆうびんきょくと スーパーの あいだに コンビニが あります。(文型1)
【例5】おてあらいは かいだんと エレベーターの あいだに あります。/おてあらいは かいだんと エレベーターの あいだです。(文型2)
【コラム】
ここで、文型1と文型2の違いについて考えてみましょう。
【例6】
ぎんこうの よこに スーパーが あります。(文型1)
スーパーは ぎんこうの よこに あります。/スーパーは ぎんこうの よこです。(文型2)
【例7】
つくえの うえに ノートや ペンが あります。(文型1)
ノートや ペンは つくえの うえに あります。/ノートや ペンは つくえの うえです。(文型2)
文型1と文型2は、一見、構造が異なるだけで意味の上では大きな差がないように見えますが、使い方に注意が必要です。たとえば、【例7】の文型1も、文型2も、「ノートや ペン」が置かれている場所・位置について述べていますが、そのことを新情報として述べる場合には、文型1を用います。一方、そのことが話し手・聞き手に共有されている情報またはトピック(話題)である場合には、文型2を用います。次の例を比較しましょう。
【例8】
リン: いすの したに CDケースが あります。(文型1)○ マナさんのですか?
CDケースは いすの したに あります。(文型2)× マナさんのですか?
マナ: いいえ、わたしのでは ありません。
ここでは、リンさんは椅子の下にCDケースがあることを新しい情報としてマナさんに話します。文型1の形にして述べるのが自然です。
【例9】
客: [本屋で]あのう、すみません。にほんごの きょうかしょは どこに ありますか?
店員: にほんごの きょうかしょは あちらの たなに あります。(文型2)○
あちらの たなに あります。(文型2)○
あちらの たなに にほんごの きょうかしょが あります。(文型1)×
ここでは、客の質問は「にほんごの きょうかしょは…」と、話のトピックから始まる形になっています。答えるときも同じトピック「にほんごの きょうかしょは」から始まる形、つまり文型2の形、にして答えるのが自然です。また、客と店員はこのトピックを共有しているということになりますから、「にほんごの きょうかしょは」を省略して、単に「あちらの たなに あります。」と答えることもできます。
【語彙】
【名詞(nouns)】
椅子(いす)
お祈り室(おいのりしつ)
会議室(かいぎしつ)
喫茶店(きっさてん)
救急車(きゅうきゅうしゃ)
警官(けいかん)
講義室(こうぎしつ)
講師室(こうししつ)
交番(こうばん)
コーヒーメーカー
コピー室(コピーしつ)
CDケース(シーディー ケース)
食堂(しょくどう)
スイッチ
ステレオ
正門(せいもん)
センター長室(センターちょうしつ)
相談室(そうだんしつ)
棚(たな)
机(つくえ)
ディスプレイ
テーブル
テレビ
トースター
図書室(としょしつ)
ノート
バス停(バスてい)
本棚(ほんだな)
洋食(ようしょく)
リモコン
留学生事務室(りゅうがくせいじむしつ)
和食(わしょく)
【例文】
1. 椅子の上に猫がいます。(いすの うえに ねこが います。)
2. テーブルの下に犬がいます。 (テーブルの したに いぬが います。)
3. テレビの横にステレオがあります。 (テレビの よこに ステレオが あります。)
4. 棚の上にトースターとコーヒーメーカーがあります。 (たなの うえに トースターと コーヒーメーカーが あります。)
5. ステレオと本棚の間にテレビがあります。(ステレオと ほんだなの あいだに テレビが あります。)
6. 救急車の後ろにバスがいます。 (きゅうきゅうしゃの うしろに バスが います。)
7. 赤い車の前にタクシーがいます。 (あかい くるまの まえに タクシーが います。)
8. タクシーと青い車の間にトラックがいます。 (タクシーと あおい くるまの あいだに トラックが います。)